浦粕村(うらかすむら)

浦粕村には【恐怖の儀式】が行われる【富士山】がある

浦粕富士の儀式

浦粕村には「浦粕富士」と呼ばれる山がある。

今は子供たちの遊戯場として利用されている。

私が幼少の頃はこの場所で「ある儀式」が行われていました。

それは将来の村長候補になるべき器かどうかを試される。

かつて、この山の脇には巨大な石造りの滑り台があり

高さ10m・長さ20m・幅は50cmである。

想像してみて下さい。

横からみれば巨大であり、正面からみれば幅の無い恐怖のジェットコースター。

幼少の子が滑り台の頂上に到着するとバンジージャンプぐらいの高さと恐怖である。

角度は大したことは無いのですがツルツルの石造りの上に長さがあるので加速がハンパない。

極めつけはちょうど半分ぐらい滑り終わると1mほど「平ら」になる箇所がある。

加速をして平らが終わる頃にはジャンプ台状態になっている。

この滑る姿の行程が審査されるのだ。

そう。これが「将来の浦粕村長候補器試し儀式」なのだ。

村議会員と各集落の有権者が立ち合い点数を付けて審査をする。

審査基準は以下だ

ビビッては勢いよく滑ることができず

当然高得点のジャンプ距離は狙えない。

優雅さには「余裕な顔」「速度の出る服装」などがある。

私は10歳の時にこの儀式に自発的参加をした。

体操服のケツにロウを塗り少しでも風の抵抗を抑えるために丸坊主で参加した。

この時点で審査員からの心象は良かったようだ。

浦粕村を探せ

いざ本番

予行練習は何度もやった。

「笑顔ヨシ!」

勢いを付けてシュ―――――

心の中では「初速ヨシ!」

しかし・・・

あっ!!!!!

最初の難関(平ら地帯)でスピードがつき過ぎてしまい

そのまま残り10mを滑り台にケツがつくことなく空中を舞った・・・

心の中では

「笑顔を保て!!!」

着地したところが芝生であった事が幸いした。

体操競技でいうグリコポーズでフィニッシュ。

審査員からの「おー」という歓声も聞こえた。

靴が芝生に10cm程めり込んでいた事を覚えている。

予行練習ではロウを塗っていなかったのが誤算だったが

審査員の満場一致の満点を叩き出していた。

その後も誰もが真似ができずに何十年もこの満点記録は破られていない。

この伝説に感化されてしまう少年も多く、

最近のモヤシっ子や過保護な親から

「この器試し儀式は危険だ」と

滑り台ごと撤去されてしまったのは数年前である。

私は村長になる気は無いが十分な資格を保持していると自負している。

なぞの山が出現

もう30年ほど前になるが浦粕村に謎の山が突如として出現した。

プラスチック製との噂だったり。

人工物だとの噂があったり。

活火山だとの噂まである。

ここはニュータイプが支配する集落なので

私ですらうかつには近づくことはできないのである。

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